○佐賀広域消防局火災調査規程

令和3年3月22日

消防局訓令第1号

佐賀広域消防局火災調査規程(平成15年佐賀中部広域連合消防局訓令第13号)の全部を改正する。

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 調査体制(第5条―第10条)

第3章 現場保存(第11条―第13条)

第4章 質問及び資料の提出(第14条―第17条)

第5章 原因調査(第18条―第23条)

第6章 損害調査(第24条)

第7章 調査書類(第25条―第27条)

第8章 報告(第28条)

第9章 雑則(第29条―第32条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「調査」という。)について、佐賀広域消防局消防活動基本規程(令和3年佐賀中部広域連合消防局訓令第6号。以下「基本規程」という。)に定めるもののほか、必要な事項を定めるものとする。

(令3消防局訓令8・一部改正)

(用語の意義)

第2条 この規程において「火災」とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。

2 この規程における用語の意義は、前項及びこの規程に別に定めるもののほか、基本規程の例による。

(火災の種別)

第3条 火災は、り災物件の種類により次の各号に掲げる種別に区分するものとする。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損(爆発による損壊を含む。以下同じ。)した火災

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災

(3) 車両火災 自動車車両(被けん引車を含む。)若しくは鉄道車両又はこれらの積載物が焼損した火災

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災

(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災

2 前項に規定する火災の種別が2以上複合するときは、第24条第2項第1号に掲げる焼き損害の額の大きなものの種別による。ただし、その態様により焼き損害の額の大きなものの種別によることが、社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

(調査の種別)

第4条 調査の種別は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 原因調査 火災が発生した原因及び火災が拡大した原因を究明するために行う調査

(2) 損害調査 火災及び消火のために受けた人的及び物的損害を明らかにするために行う調査

第2章 調査体制

(調査の実施責任)

第5条 調査の実施責任は、火災が発生した地域を管轄する消防署長(以下「署長」という。)にあるものとする。ただし、車両火災、船舶火災及び航空機火災において、り災物件が移動するなどの場合の調査の実施責任は、別に定める。

(調査の着手)

第6条 前条の規定により、調査の実施責任のある署長は、火災の発生を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。

(調査員)

第7条 調査を行わせるため、消防局(以下「局」という。)及び消防署(以下「署」という。)に調査員を置く。

2 局の調査員は、予防課職員をもって充てる。

3 署の調査員は、署の職員をもって充てる。

4 前項の規定にかかわらず、消防局長(以下「局長」という。)は、必要があると認めるときは、調査員以外の消防吏員に命じて調査を行わせることができる。

(派遣要請)

第8条 署長は、調査のため必要がある場合は、局長及び他の署長に対し、調査員等(調査員及び前条第4項の規定により調査を行う消防吏員をいう。以下同じ。)の派遣及び調査器材の貸与を要請することができる。

2 前項の要請を受けた局長及び署長は、調査員等を派遣するなど、署長の行う調査に協力しなければならない。

3 局長は、調査のため必要があると認めるときは、前2項の規定にかかわらず、局の調査員等を派遣することができる。

(調査本部)

第9条 局長は、特に必要があると認めた火災については、第5条の規定にかかわらず、調査本部を設置し、当該火災についての調査を行わせるものとする。

2 調査本部の組織及びその他必要な事項は、その都度局長が定める。

(派遣命令)

第10条 局長は、法第35条の3の2の規定に基づき消防庁長官が行う火災の原因調査に協力する場合その他特に必要があると認めた場合は、調査員等の派遣を命ずることができる。

第3章 現場保存

(消防活動中の現場保存)

第11条 消防隊の指揮者及び隊員は、消火活動並びに残火鎮滅にあたっては、被災前の状態を推知し得るよう、また出火箇所と認められる場所付近は細心の注意を払い現場保存に努めなければならない。

(消防活動後の現場保存)

第12条 署長は、消防活動が終了したときは、所轄の警察署と協議のうえ現場保存に必要かつ最小限度の区域を指定するとともに、別に定めるところにより必要な措置を講じなければならない。

(焼死者等の取扱い)

第13条 署長は、現場において焼死者その他の死者が発見されたとき又は生死が確認できない関係者があるときは、速やかに局長に報告するとともに、所轄の警察署長に通報し、現場保存に特に注意しなければならない。

第4章 質問及び資料の提出

(質問権の行使)

第14条 法第32条第1項に規定する質問は、調査員等に命じて行わせるものとする。

(質問の注意事項)

第15条 調査員等は、関係者に対し質問を行う場合には、次の各号に掲げる事項に注意しなければならない。

(1) 時宜を失することなく、常に任意真実の供述を得るよう努めるとともに、被質問者に不快の念を与え、又はみだりに私事にわたらないこと。

(2) 現場においては、被質問者の冷静かつ正確な供述を得るため、時間、場所その他の事情を考慮して原因究明の端緒を得るように努めること。

(3) 自己が期待し、又は希望する供述を得るために被質問者を誘導しないこと。

(4) 被質問者が直接経験した事実の供述を得るよう心がけるとともに、被質問者の伝聞による供述で重要な事実に関するものについては、その事実を直接経験した者に更に質問を行うように努めること。

(5) 18歳に満たない者及び心神喪失者又は心神耗弱の状態にある者に対し質問を行う場合には、同人の親権者、後見人その他の適切な成人の立会いを求めるよう努めること。

(資料の提出命令等)

第16条 署長は、調査のため必要があると認めるときは、関係のある者に対し、資料の任意提出を求めることができる。

2 署長は、法第32条第1項又は法第34条第1項の規定に基づき資料の提出を命じるときは、別に定める命令書により行うとともに、資料の返還の必要の有無を確認しなければならない。

3 署長は、第1項の規定に基づき資料の任意提出を求めるときは、別に定めるところにより、当該資料の正当な権原を有する者に対して、資料を提出することについての承諾を得るとともに、資料の返還の必要の有無を確認しなければならない。

(資料の保管等)

第17条 提出された資料は、汚損、変質、変形等が生じないように慎重に取り扱うとともに、別に定める台帳に提出者の氏名、住所、保管の状況等を記載しておかなければならない。

2 提出された資料は、調査が完了したとき又は保管の必要がなくなったときは、返還しなければならない。ただし、資料の返還を求められなかったときは、この限りでない。

第5章 原因調査

(原因調査の原則)

第18条 原因調査は、科学的かつ合理的な判断によって事実の立証及び火災実態の把握に努め、出火箇所、発火源、燃焼経過等を明らかにすることを原則とする。

(火災出動時の見分)

第19条 調査員等及び消防隊の指揮者(代行者を含む。)は、出動途上及び現場到着時の燃焼状況並びにその推移、戸締りの状況、関係者の言動その他原因の究明に必要と認められる事項を把握しなければならない。

(実況見分)

第20条 調査員等は、焼損状況を把握するため実況見分を行い、そのてん末を記録するとともに、原因の究明に必要な資料を収集しなければならない。

(写真撮影)

第21条 調査員等は、現場において原因の究明に必要なものについては、写真撮影を行わなければならない。

(原因判定)

第22条 火災原因は、実況見分、質問、収集した資料等を総合的に検討して判定しなければならない。

(鑑定等の依頼)

第23条 局長又は署長は、原因の判定に関して特に必要があると認めるときは、収集した試料又は特異な事象について、学識経験者、官公署その他適切な機関に鑑定又は分析の依頼をすることができる。

第6章 損害調査

(損害調査)

第24条 損害調査は、り災物件を詳細に調査し、火災及び消火のために受けた損害を正確に把握しなければならない。

2 前項の規定による損害の把握は、次の各号に掲げる区分ごとに行うものとする。

(1) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害

(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた損害で、前2号に該当しないもの

(4) 死傷者 火災現場において火災に直接起因して、死亡した者又は負傷した者

第7章 調査書類

(調査書類の作成)

第25条 署長は、火災の鎮火後、調査の結果に基づいて、別に定める火災調査書(添付書類を含む。以下「調査書類」という。)を作成しなければならない。

(調査結果の報告)

第26条 署長は、前条の規定により作成した調査書類を、別に定めるところにより、局長に提出し報告しなければならない。

(調査書類の保管)

第27条 調査書類は、管轄署において保管するものとする。

第8章 報告

(火災即報)

第28条 署長は、管轄区域内で火災が発生したときは、鎮火後直ちに火災の概要を火災即報として局長に報告しなければならない。

第9章 雑則

(照会回答)

第29条 捜査機関その他の公的機関から調査事項に関する照会が行われた場合は、局長又は署長が回答するものとする。

(証人としての証言)

第30条 調査員等は、調査の結果判明した事実について裁判所から証人として証言を求められた場合は、局の調査員は予防課長、署の調査員は所属の署長に報告しなければならない。

2 前項の報告を受けた予防課長及び署長は、局長の許可を得なければならない。

(火災以外の災害調査)

第31条 火災以外の災害に係る原因及び損害の調査については、この規程を準用する。

(その他)

第32条 この規程の施行について必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

(令和3年6月9日消防局訓令第8号)

この訓令は、公布の日から施行する。

佐賀広域消防局火災調査規程

令和3年3月22日 消防局訓令第1号

(令和3年6月9日施行)

体系情報
第8編 防/第2章 火災予防
沿革情報
令和3年3月22日 消防局訓令第1号
令和3年6月9日 消防局訓令第8号